「恐怖の50日間」のスタートは今夏8月23日、69歳の誕生日を迎える前日のことでした。そして、それが終わったのがその日から数えて50日目の今日10月11日でした。小説でも映画でもないので、ドラマチックに話の展開をするつもりもありません。ただただ、今日、いま、「良かった」と世の中すべてに感謝しています。
50日の間に何が起きていたか・・・・・
8月23日: 下腹部に初めて経験する急な痛みが走った。その後は、過去何年かおきに経験した下腹部の軽い鈍痛のような違和感がつづいた。すぐに泌尿器科に行った。「前もあった前立腺炎でしょう」と漢方薬を処方してくれた。1週間薬を飲み続けても改善しないので、別の漢方薬を追加。
9月5日: 毎年1回受ける特定検診を受診。同時に前立腺がん検診も申し込んだ。
9月10日: 前立腺がん検診の結果が出て「異常なし」の判定。ということは、下腹部の痛みと違和感は単なる前立腺炎か別のところからくるものか。ほかの臓器も血液検査の結果は異状なし。
この日、大腸がん検査(便潜血検査)のための便を提出。
9月16日: 便潜血検査の結果がでた。1日目のほうは陰性、2日目のほうで陽性の判定。大腸がんの可能性があるので「大腸カメラ検査を受けなさい」ということになった。すぐ、専門の胃腸科病院を紹介してもらい、大腸カメラ検査日が9月28日に決定。
9月20日: 下腹部の違和感がなくならないので泌尿器科でエコー検査。結果は前立腺、膀胱、腎臓などに問題なし、とのこと。エコーでわからないくらいの炎症を起こしているのではないか、ということで抗生物質を5日間処方。16日の便潜血検査の陽性結果を聞いているので「もしや大腸や直腸から来ているのでは・・・・・」の疑念が頭から離れない。
9月21日: 大腸カメラ検査を受けるのは今回が初めて。検査予定の病院は高槻市内では評判の良いところだが少し心配。検査日の前から準備することがたくさんある。検査の7日まえになるこの日から、脳梗塞を起こして以来飲み続けている「血液をサラサラにする薬」を別のに換えて処方された。たぶん、カメラ検査時にポリープが見つかった場合それを取ることになるが、血が止まらなくなるとまずいのでそれに対処するための変更なのだろう。
9月25日、26日: 3食の食事内容の制限。乳製品とか野菜、特にネギ、白菜、キャベツを食べてはいけない、などの注意がいくつかある。
このころ、抗生物質のおかげか下腹部の痛み・違和感があまり感じられないようになってきた。
9月27日: 25日・26日よりさらに厳しい食事材料制限がある。しかし便利なことに「カメラ検査前日用の特別食」というのがある。これでなくてはいけない、という事ではないが、食べてはいけないものが非常にたくさんあり、難しいことを考えるよりもこれだけを食べていれば問題ない。朝昼晩の3食と1回の間食がセットになっていて1,100円。アルコールもできるだけ控えてください、という事で僕は断酒。夜9時までに夕食を終え、排便促進薬を内服。
9月28日: 検査当日。朝9時から1時間10分かけて1.8リットルの下剤を飲む。ネットでは下剤のアジと量に苦しめられた、という感想があふれているが、僕の場合はほとんど苦労することなく楽々と “制覇”。直後からトイレに行くこと5回。最後には飲んだのがそのまま出てきているような感じで、腸内が掃除された様子。
13:30に病院に入り、14:00ごろから検査開始。男性用の前開きパンツのようなのを前後を反対にして開いている部分を肛門に合わせて着用。施術担当は女性先生。恥ずかしい、なんてことを考える間もなくあっという間にカメラが体内に入っていった。「ポリープがあります。取りますね。」しばらくして「もう一つありますね」「(良性かガン細胞か判定する)検査に出しますね」「はい、お疲れ様でした」、ということで15分ほどで検査は終了。
ポリープの写真を見せながら「ひとつは直径5mm、もう一つは7mm」「たぶん心配することはないと思います(良性の可能性が高いです)」とうれしい宣言。
最後に、説明カウンターで「検査結果を10月11日に聞きに来てください」「これで今日の予定はすべて終了です」、という事でほっとする。それにしても、結果が出るまで「良性だろうか、最悪の場合ガンだったらどうしよう」などと考えなくてはならない期間が2週間も続く。恐ろしい。
9月29日: ポリープ切除術をやったので、この病院では経過観察のため1泊2日の入院が必要。術後の大腸からの出血もなく、術後経過も安定していたので予定通り1泊2日で退院。
10月2日: 左耳掃除の際、奥深くやってしまって、耳奥の痛みが2日間ほど続く。それが治ったな、と思ったら今度はのどの左奥が痛い。風邪? それが治ったら今度は右後頭部表皮に近いところがピリピリと痛む。痛み止めを飲んでも風邪薬を飲んでも止まらないし、だんだんひどくなっていく。こうなると「大腸ガンが転移して脳にまで来た?なんて良からぬことまで考えてしまう」
10月11日: いよいよ運命の日、大腸カメラの生検結果の出る日だ。病院へ8:30に着いた。診察は9:00からだがもう30人ほどの人が待っている。9:30、順番が来て診察室の中に入った。
心臓はドキドキ。若い男性先生が「大丈夫、良性です、ガンではありません(といったような気がする。頭は興奮状態で先生の言葉を正確には覚えていない)」。 「これからは1年か2年に1回、大腸カメラ検査を受けることをお勧めします」という事でめでたく “無罪放免” になった。
その足で早速泌尿器科病院に行って大腸検査の結果報告。先生一言「良かったですね」。
そして、かかりつけ医院にも行って同じ報告。「それは良かった」と言ってくださった。そのあと、脳神経外科専門のその先生に「右後頭部の痛みが取れないんです。脳腫瘍なんかではないでしょうね」と尋ねると先生が即断「それね、神経痛ですね。秋口によく出ますね。」「昔、幼いころの氷枕を使ったことのある人が、それが原因でいまになってこの部分の神経痛を訴える人がいますよ」と診断。痛み止めの錠剤と塗り薬を処方してくれた。昼と先ほどの夜、2回服薬と塗布をしたが、ホントうれしいことに痛みがほとんどなくなった。先生、ありがとうございます。
という事で「恐怖の50日間」が過ぎ、3つの病院で検査、診断、投薬の結果、すべてが良い方に向かっている。それぞれの先生、看護師さん、そのほかの方々、ありがとうございました。