2017年11月29日(水)記 第4週目
事件が起こったのは先週21日、火曜日のことだった。「3週目で初めて課外学習」の記事を書いたその続きの夕方に起こった。
グラナダに地下鉄があるなんて知らなかった。少し前に開通したという事だった。全26駅、1路線。家に一番近いレコヒーダスRecogidasという駅に行った。
何もわからないのでクラスメートの日本人女性に付いて来てもらった。この駅には案内窓口があり、そこで路線図をもらい、券売機の前をキョロキョロしていると案内係の男性がすぐに近づいてきて「どこまで行きたいの?」「何人で?」「片道?往復?」「このお得切符がいいですよ!」などと親切に案内してくれた。
1回乗ったら1.35€(180円)のところ、2人で合計6回使える回数券が5.30€(720円)なので安いですよ、と言われてとにかくお勧めに従って購入。案内書を後で読んでみると、切符の値段と使い方はそんなに単純ではなく、乗車料金とカード代や1枚で使える人数や有効期限やそのほかいろいろなことが書いてあった。
ともかく新しい駅舎から新しい車両に乗って15駅目の終点まで行くことにした。
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ホームから上を見上げたところ。 |
数駅走ると地下鉄は地上に出て路面電車になった。僕たちは窓を背にしてプラスチック製の座席に座って、夕方まだ明るい外の景色を見ていた。
突然、電車のブレーキがかかった。何かを考える間もなく、何かにつかまることもできず、僕と連れの日本人女性と地元のスペイン人(?)の3人が座席から滑って空中を2mほど前方にすっ飛んで電車の床にたたきつけられた。
もちろん電車には僕たち3人以外にもたくさん乗っていたが、その人たちは飛ばなかったようだ。というのも、座席には窓を背にして座る座席と、その直角方向の進行方向または後ろ向き方向に座る座席の2種類があって、前向きまたは後ろ向きに座っていた人たちは飛ばなかったようだ。
座席はプラスチック製でつるつるしていて、よく滑る。
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前向き・後ろ向きの座席 |
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僕たちが座っていた横向きの座席。
進行方向は左。僕が座っていたのは4席のうち
一番左側。車両の継ぎ目を超えてその向こうまで
飛んで行った。
ひじ掛けがないから体を支えるところがない。 |
何が起きたのかわからず、周りの人たちは、僕たちが一番ひどくたたきつけられた様子を見て、「大丈夫か?」とずいぶん心配してくれて声をかけてくれた。飛んだ3人のうちでも一番先頭に近かった僕がひどかったようだ。
しばらく起き上がれずにいたが、頭は大丈夫で、あちこちさすってみても怪我をした感じでもなかったのでやせ我慢のカラ元気を見せた。
電車の女性運転手が乗客室に入って来て何やら説明したが全く聞き取れない。路面電車だから交差点があって自動車も走っている。ほかの乗客に聞くと、一台の自動車が信号無視して飛び出してきて、衝突を避けるために電車が急停車した、という事だった。
女性運転手は、体をさすっている僕の方に近寄るでもなく、すぐに再発車した。
転んだ時には痛さを感じなかったが、5分ほどしてから背中が痛み出した。電車の中のどこかにぶつかったようだったが覚えていない。出血はしていなかった。病院へ行くほどの痛みではなかったので地下鉄体験乗車を続け、終点まで行って折り返し帰宅した。
後日、むち打ち症が判明、なんてことになったら大変。「あの時運転手に事故証明でも貰っておけばよかった」とか「警察に届け、病院に行った方が良かった」などと一瞬思った。外に出るときはいつもカメラを持っている。その時もポケットの中に入っていたが、証拠写真を撮る余裕などとてもなかった。
あれから1週間を過ぎた。たまたま持ってきていた湿布薬を張ったりして痛みは引いて,徐々に良くなって来ている。